哀れ

イタイ

イタイ

……なんて声をかければよいのだろう。

「そんな顔しないでよ……深山君」

そう言う彼女の顔は己の死に対する恐怖よりも、相手を気遣う哀しみに染まっている。

ぎこちなく、彼女に顔を向ける。

「……君を助けることが……出来なかった……!」

俯くが、そっと手が肩に置かれた。

顔を上げる。

「きっと、これでよかったんだよ……これで」

呟く彼女の瞳は閉じられている。

下半身は消滅し、床に落ちた砂も蒸発しはじめている。

「深山君が止めてくれなかったら……私は、もっとたくさんの人を殺していたと思う」

……ココロガ、イタイ……キリサカレソウダ……

彼女を抱きしめたくとも、抱くのに必要な両腕がない。

「……くそ……!」

「深山君?」

噛み締める歯がごり、と音をたてる。

悔しい!

己の無力さに腹が立つ。

こんな人を殺す能力を持っていても。

目の前にいる少女を救うことも出来やしないっ!

何が……何が正義の味方だっ!

「どうして……どうしてこんなことになっちまったんだっ?!」

まだ、人生はこれからなのだ。

普通に高校に通い、大学に進学し、素敵な彼氏をつくって、よい企業に就職し、結婚して、腹を痛めて子どもを産んで、親子で幸せな生活を送る。