哄笑
ポケットにナイフを入れ、閃光弾を取り出し、葵目掛けて投擲。彼女の手前で炸裂した閃光弾は眩い光を辺りに撒き散らす。
辺りに赤光が戻る頃には、緋影の姿は葵の目の前にはいなかった。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
緋影は荒い息を吐きながら必死に走っていた。
どういう訳かはわからないが、校舎には鍵がかかっていなかった。掛け忘れたか、葵があらかじめ開けておいたか。
後者だとすればまずい。トラップが張られている可能性が非常に高い。
(……これが殺される者の気分か……)
吐き気がして来る。とてもではないが笑える雰囲気ではない。
葵は自分を殺そうとしている。それは間違いない。
(……ひどいです。深山君、私のこと、忘れたんですか?)
忘れた覚えはやはり無かった。
彼女は、自分を利用する為にこの学校に紛れ込んでいたのだから。
(ところで、深山君。その眼鏡、度は入っていませんよね?)
何が度は入っていませんよね、だ。
……最初から、彼女は自分の眼の事を知っていた……
(茶道部の者が、お茶を勧めるのはそんなに珍しいことですか?)
……笑わせてくれる……