疑問
「この体のせいで大変な目にあったものですよ。どこから私の体のことを聞きつけたのか、私は今属する組織に捕まってしまいましてね。組織は私を人体実験の材料に使ったんですよ。私の体に宿った不死の力を解明する為に」
凄惨な微笑みに体が硬直した。
「昨日、あの怪物から受けた苦しみとは比べようなのない苦痛、いえ、生き地獄と言っていいでしょうね。心臓を引き摺り出されたり、脳を潰された後でもすぐに意識が戻ってしまうので、絶え間ない苦痛を経験しましたよ。発狂しなかったのが恨めしい位です」
…………
「結局、力の源を解明出来ずに、この再生能力の為に洗脳することも出来なかった組織は、実験を解除するのと引き換えに私をこうやって暗殺者に仕立て上げたのですよ」
大地さえも彼女の話に恐怖したかのように、重い静寂が空間を支配している。木々のざわめきもすでに聞こえない。
「さて、昔話はこれくらいにしましょう。あなたは『心眼』の力に体を乗っ取られようとしています。『心眼』に体を支配されたが最後。貴方は殺人鬼とも呼ぶのもおぞましい、『心』の破壊のみに快楽を見出すキリング・マシーン殺人機械と化すでしょう。そうなったら被害は今回の事件の比ではありません。私でも止められるかどうか、わかりません」
「……俺がそうなる前に、確実に殺す……そういうことか?」
葵は無言で頷く。彼女の雰囲気に呑まれそうになりながらも緋影は思考する。