様子見
「ああくそっ!使えねえ奴だっ!」
大竹は舌打ちすると、無事な右手で頭を抱えながら喚く。
「首の方は大丈夫なのか?」
小川の力は半端なものじゃなかった。加減されていたようだが大丈夫だろうか。
ギブスで固められた首を指差し、
「このと〜り、まだ直っちゃいないが、一ヶ月もすりゃ大丈夫だ。これも俺様の回復力の賜物だなっ!」
突然大声でわっはっはっは、と笑い出す。だが急に彼の声と顔が真剣なものになる。
「それに俺の首よりも、お前はどうなんだよ」
言葉に詰まる。
「最近お前、輪をかけて暗いぞ。そりゃ、小川の……家出の件があるけどよ……」
……家出ならどれだけ楽か……
……生きている望みがあればどれだけ希望を持てるか……
だが答えは出ない。
なぜなら、小川美奈は自分が殺したから。
緋影の暗い心情を察したのか、
「それよか先輩だよ、先輩っ!それじゃあな、緋影。元気だせよっ!」
大竹はそう言うと、土煙をたてながら走り去っていった。何だかんだ言って彼は自分を気遣ってくれているようだ。
彼の事を心配する必要はなさそうだ。ある程度の治療と記憶の操作はもうすでに葵がしたようだ。
大竹が去ったのを確認すると、
「……確かに、気になるよな」
ぼそりと自分でも知らぬ間に呟いていた。何かあったのかもしれない。
むしろ心配の必要があるのは葵のことだろう。
……最悪、あの化け物がまだ生きていて、自分を巻き込まないように一人で戦っている、というのも考えられる。
「先輩のアパートに行ってみるか」