哀れ

頭痛

頭痛

「はあ、はあ、はあ……先輩?」

葵は目の前に座り込みながら、なにやら右腕の治療を施しているようだ。

方法はわからないが、左腕はすでに何事も無かったかのようにくっついている。

「……幸い、と言うか、深山君の体はもう『心眼』に適応しはじめていますね……精神的な『死』に対する抵抗力が異常に強い……回復力も普通の人間では考えられない位高いようですね」

なるほど。どおりであんな重傷を負っていても体が動くはずだ。普通ならとうの昔に動けなく……いや、死んでいる。

葵は淡々と語りながら右腕の治療を続ける。

「一つ、言ってていいすか」

「何です?」

「先輩が……俺の為に剣を捨てた、と言ってましたが……」

「そのことなら気にしないで下さい」

彼女の顔に表情はない。治療に集中しているからだろうか。

「……いや……その……」

「まだ頭痛がするんですか?」

彼女の表情に一瞬だが焦りが浮かんだように見えた。

「いや、頭痛は、もう大丈夫」

それだけはきっちり言えた。この返答で葵は安心したようだ。ホッ、と息をつき、